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賃貸住宅業界に変革を。常識に挑んでこそ道は拓かれる。

日本管理センター株式会社
代表取締役 社長執行役員 武藤 英明

更新日:2018年4月11日

大学卒業後、外資系建設機械メーカーなどを経て、株式会社ネクスト(現:株式会社LIFULL)を共同創業。その後、アパマンショップネットワーク(現:株式会社アパマンショップホールディングス)のシステム部長を経て、2001年、株式会社原弘産 取締役および株式会社不動産ビジネス研究所 代表取締役就任。2002年、日本管理センター株式会社を設立し、2011年にJASDAQ、2012年に東証二部に上場。2014年、設立からわずか11年半で東証一部への上場を果たす。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

雇用を創生する側になりたい。ある経験を転機に、起業の道へ。

私は、当社を設立する以前にも起業を経験しています。最初の起業のきっかけは、外資系メーカーで管理職を勤めていた頃に背負った、あるミッションです。

それは約120名の社員をリストラすること。仕事とはいえ大きなストレスから十二指腸潰瘍を患い、腸にふたつも穴を空けてしまいました。この経験が転機となり、雇用を創生する側を目指して起業の道へ進むことを決意しました。

友人とともに起業したのは、1997年。賃貸物件は情報誌で探すことが一般的だった時代に、不動産・住宅情報サイトを立ち上げたのです。その後、経営方針の違いから、友人とは別の道を歩むことになりました。

二度目の起業は、九州の不動産会社6社から寄せられた、ひとつの依頼が始まりです。それは「賃貸物件を共同管理して、コストを削減したい」というものでした。そのための研究を行うことになり、前身である「管理センター構想研究会」を発足。翌年の2002年に現在の「日本管理センター」設立へとつながりました。

“三方良し”のビジネスモデルで、業界の課題を解決する商品を開発。

当社は設立以来、16期連続で増収・増益を続けています。賃貸物件管理からサブリース(一括借上)へと事業を拡大したことが成長の原動力となりましたが、事業開始にあたっては、既存のサブリースではなく、マーケットに合ったサービス内容へと転換する必要があると考えていました。

当時の主流は、ハウスメーカーが販促目的で行うサブリース。ハウスメーカーはオーナーが所有する物件を一括借り上げし、空室の場合でも一定の賃料を支払います。オーナーにとって「家賃保証」が最大のメリットですが、これを利用するためには、ハウスメーカーの施工で新たにマンションやアパートを建てなければいけません。

「日本の人口減少が進む中、新しい住宅を建て続けることは、果たしてマーケットに合っているのか?」「物件オーナーは、本当に満足しているのだろうか?」。当時の常識に疑問を投げかけ、思索を重ねて開発したのが、「スーパーサブリース」でした。

対象の物件は新築・中古問わず、空室率の改善による収益アップを目的としているため、入居者が住み続けたいと思う物件を作ります。つまり、当社だけではなく、オーナーにも、入居者にとってもうれしい“三方良し”のビジネスモデル。「スーパーサブリース」は既存のサブリースとは一線を画す商品となり、リリース翌年には売上が7倍にアップしました。

実は私の実家の家業は三代続く、卵の卸問屋です。幼い頃、祖父からよく聞かされていたのが“三方良し”の精神。家業を継ぐことはありませんでしたが、その教えは今も守っています。

賃貸住宅は、金融商品。オーナー資産の最大化がミッション。

私はアパート・マンションなど賃貸住宅の位置づけを、不動産ではなく金融商品ととらえています。物件オーナーの資産を最大化させることが当社のミッションであり、そのための商品・事業を開発しています。

スーパーサブリース以外にも、賃貸住宅向けブロードバンドサービスや、メンテナンス効率を高める「フローリングそっくりさん」、既存物件のリフォームと一括借上を組み合わせた「スーパーリフォーム」、高齢者向け賃貸住宅の建築から運営までをフルサポートする「ふるさぽ」など、開発した商品は多岐にわたります。

また資産の最大化を実現するために欠かせないのが、全国1400社を超える企業との提携です。パートナー企業は賃貸管理会社、売買仲介会社、建築会社、リフォーム会社、高齢者向け住宅運営会社など。当社のサブリース等の商品と各社のサービスを組み合わせることで、全国各地で賃貸経営サポートが可能になり、オーナーの安定した収益確保・向上に寄与しています。

さらにこのシステムを通じて、パートナー各社の売上向上にも貢献できることが特長です。日本における民間賃貸住宅は、全体の22.7%が空き家(※)という状況の中、当社の管理物件の入居率は90%以上。自社の利益だけを優先していては、決して上げることのできない数字だと自負しています。

※公益社団法人 全国賃貸住宅経営者協会連合会 調べ

クレドに込めた想い。全社員でエクセレントカンパニーを目指す。

私たちが目指すのは、普通の会社ではなく「エクセレントカンパニー」です。エクセレントカンパニーになるためには、優れたビジネスモデルはもちろん、働きがいのある企業文化の醸成が欠かせません。

当社では、全社員が志を共有するために、行動の指針となるクレド(経営理念)を社員証のストラップに入れ、毎朝の朝礼で唱和する機会も設けています。例えば、行動指針の「パラダイムを打ち破る」。これは固定概念を捨て、可能性を徹底追求することをポリシーとしています。新たなサービスは、可能性に目を向けてこそ生み出せるからです。

クレドにまとめた経営方針や行動規範、大切にしている考え方は、いわば組織の骨格。この先、会社の形態や規模、取り扱う商品は変わる可能性があっても、根本の部分だけは変わることはないでしょう。私を含めた全員で実践し続けた先に「エクセレントカンパニー」が生まれるのだと信じています。

企業文化という点では、自由な社風も特長だと思います。年齢や役職、入社時期に関わらず全員が「さん」付けで呼び、飲み会などの交流を深める場では完全無礼講です。「アフターファイブに人事考課を持ち出さない」が基本方針で、役員が率先して盛り上げ役を果たします。もちろん、帰宅も自由ですよ(笑)。

社員旅行では私がこっそり計画に加わって、サプライズを仕掛けたこともあります。仕事には真面目に取り組みますが、それ以外のことにも全力で楽しめる会社でありたいですね。

ゴールはずっと先。過去を超え続け、新たな価値を生み出していく。

設立12年目に東証一部上場を果たし、2017年には設立15周年を迎えました。まったくゼロから始めた事業ですが、サブリースで管理している物件は74000戸を超え、ハウスメーカー/建築系会社を除けばトップレベルのサブリース会社となりました。

しかし市場全体で見れば、当社のシェアはわずか数パーセント。まだ道半ばです。「日本管理センター」という社名の通り、いずれは日本全国の賃貸物件を管理できるほどに成長したいと思っています。ただ、何をするかよりも、誰がするのか、どうやるのかが重要です。つまり、他社と同じ、昨日と同じでは新たな価値は生み出せません。だからこそ、仕事には熱意と誠意、そして創意が必要であり、それを有する人材が輝ける、より良い環境を作っていくことも私の使命だと考えています。

賃貸住宅市場は今後も伸び続け、チャンスも豊富です。既成概念を打ち破り続け、新しい常識を私たちの手で作っていきます。

編集後記

チーフコンサルタント
原口 翼

日本管理センター様は、創業からわずか11年半で東証一部に上場した成長企業です。今回の取材では、武藤社長のお考えや創業当時の苦労、事業の現在地や今後の方向性のお話に加えて、少し脱線して心底笑えるような楽しいエピソードまで、幅広く伺うことができ、大変楽しい時間となりました。

また、そうした会話の中にも、武藤社長の相手に対するの細かな気遣いが感じられ、社員の事をよくお考えになるお人柄を垣間見ることができました。社風はトップの人格を表す鏡に例えられますが、まさに武藤社長の行動こそが、社員様にも大きく影響しているのだと実感しました。

「誰もやっていないことを先にやる」というのが武藤社長の凄さ。新しい事業を次々と展開していく武藤社長を、人材採用の面からサポートしていきたいと思います。

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