株式会社TISM
澤田健太さん（仮名・機械設計） 28歳
一筋縄ではいかなかった転職活動。今は世界を相手に製品を作る環境にいられることが幸せ。
澤田さんは大学の理学部数学科を卒業したものの、やりたいことが見つからなかったため、畑違いの飲食店を経営する企業へ入社。ホールや調理の仕事を始めたが、ある時「工業系の仕事がしたい」という自身の想いに気づいたという。
実務経験がないため転職は難航したが、やっと小さな町工場で働けることになった。だがその会社は20代の若者にとっては条件が厳しく、再度転職活動を始めることに。活動中に登録した転職支援サイトの担当者からは年収などの希望の実現は難しいと言われてしまう。
そんななか、リージョナルキャリア愛知の担当コンサルタントは澤田さんの能力を見抜き、活躍できる会社へと導いてくれたという。現在は猛スピードで機械設計の知識を身につけ、成長している澤田さん。どんな転職活動だったのか、詳しく伺った。
※本記事の内容は、2023年5月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで24日間
転職前
- 業種
- 環境機械
- 職種
- 装置設計
- 業務内容
- 装置の機械設計業務。コストダウンを意識した新製品設計および既存製品のカスタマイズ。
転職後
- 業種
- 精密機械
- 職種
- 機械設計
- 業務内容
- 刺繍機械の設計業務。構想設計から詳細設計まで。
大学卒業後、キャリアは迷いの森へ。実務経験が無いなかでの転職活動は厳しかった。
現在のお仕事はどんな内容ですか？
私が勤務している「株式会社TISM」は刺繍機能を持つ工業用ミシンを製造・販売している会社です。刺繍機業界を牽引するトップクラスのメーカーであり、顧客はアメリカをはじめ中国、ヨーロッパなど世界中にいます。主な取引先はアパレルメーカーで、一流と呼ばれるハイブランドやスポーツメーカーなどからも支持を得ています。
私が担当しているのは刺繍機の設計・開発。世界中にいる顧客の要望に応えるため、新しい機能の追加や改善といった、機械の設計を担当しています。今は入社して半年ほど経ったところで、春日井市にある本社へ、岐阜県の自宅から1時間ほどかけて通っています。
入社前のご経歴を教えてください。
大学では理学部の数学科を専攻したのですが、新卒入社したのは大手の飲食店を経営する企業で、接客や調理の仕事をしていました。大学で学んだこととはまったく関係ない仕事でしたが、その時はやりたいことが特に無く、サービス業も好きだと思っていたんです。
大阪や箱根に転勤しながら、長い残業もこなしつつ働いていましたが、キャリアデザインを考える研修を受けたことが転機になりました。あらためて自分の人生を考えたときに、「工業系の会社に行きたい」と気づき、転職を決意しました。
しかし、理学部を卒業していたものの、工業系の会社での実務経験が無かったため、転職先を探すのは大変でした。なんとか見つけたのは、岐阜県にある小さな町工場。入社後は工場で使われる特殊な機械の設計・開発を担当することに。新しい機械の開発というよりは、既存の機械のサイズ違い、ラインナップを増やすという仕事でした。
転職のきっかけは？
前職は小さな町工場だったので、20代で働き盛りの私にとって、働く条件があまり良くないと感じてしまったんです。率直に言うと給与が低く、祝日は出勤だったので年間休日も110日ほどでした。
また、仕事で新しいことを提案しても、納得感を持てない理由で却下されてしまうことも珍しくありませんでした。社員は50人弱いましたが、若い人が少なく、話せる人がほとんどいなかったのも辛かったですね。
そして、私が唯一の設計担当だったのですが、わからないことを聞ける先輩はおらず、教育制度もありませんでした。ここでずっと独学でやっていくのも大変だなと感じ、転職することを決めました。
転職活動はどのように進めましたか？
ある転職支援サイトに登録をしたところ、数社からお電話をいただき、コンサルタントと話をしたのですが、私が希望する待遇や内容を伝えると、「それは難しい」と言われてしまいました。
そこまで高望みした条件ではなかったので、「これは転職も難しそうだな」と思っていた矢先、リージョナルキャリア愛知（株式会社リンク・アンビション）のコンサルタント、花木さんからお電話をいただきました。そして今の自分の状況や希望を伝えたところ、「いい会社があります」と紹介してもらったのが今の会社です。
花木さんはすごく話しやすくて、とても頼りになりました。入社が決まるまでの期間はかなり短かったのですが、その間、頻繁に電話をしていました。面接の際も私の緊張をほぐしてくださり、落ち着いて話せるように勇気づけてくれました。
今の会社に決めたポイントは？
一番大きな理由は待遇が良かったことです。給与がすごく上がりました。それから、会社が転換期で、これから新しいことを始めるタイミングだという点にも魅力を感じました。
ちょうど定年を迎える社員が多く、入れ替わりのタイミングだったというのもあるようで、ここ半年で30人くらい入社しています。私の部署は20人くらいいますが、約半分が20〜30代。みんなイキイキとしていて、とても楽しいです。
求められる知識レベルはかなり高いものの、スキルアップできることが幸せ。
転職していかがですか？
満足度はかなり高いです。収入が上がり、環境も良くなりました。何より、やりがいがすごくあることが良かったです。常に新しいことを学び、考えているという感じで、自分のスキルが大幅にアップできていると感じます。それがまさにやりたかったことなので、今、非常に満たされていますね。
転職前も必死で勉強していたつもりですが、今は世界に向けた製品を作るための知識が求められます。このような世界レベルの知識を習得できることに喜びを感じています。
転職して良かったと思うことは？
残業があまりないことが良かったです。時期によって変わるのですが、多くても月に20時間以内くらい。会社全体で残業しないよう、効率を上げていこうという意識があるのが、すごく良いと思います。
社内は中途採用が多いので、そういった意味でも居心地はすごくいいですね。いろんなジャンルの機械設計を経験した方がいますが、愛知県という土地柄か、やはり自動車系出身者が多いですね。会社の同僚は、思っていたよりも皆すごくフレンドリーだなと感じています。
困っていることや課題はありますか？
課題があるとすれば、自分がまだ意見を発信できるような立場にない、というところです。社内には若い人でも意見を言える風土があるので、私も自分の意見を言いたいと思っています。
ただ、まだ知識が足りないということもあって、うまく意見をまとめることができず、もどかしさを感じています。これからどんどん知識を身に付けて、早く自分から発信していけるようになりたいですね。
生活面の変化はありましたか？
転職して、プライベートもかなり充実したと感じます。以前から車やバイクをいじることと海釣りが趣味でした。車やバイクはスピーカーやライトなど、自分ができる範囲で付け替えるのが楽しいですね。釣りは海のある福井県まで車で2時間くらいかけて行っています。
転職前は精神的に余裕がなかったからか、休日になってもなかなかやる気が起きませんでした。今は休みが増えたこともあり、毎週のように福井県まで釣りに出掛けています。
それから、今は実家暮らしですが、今後会社の近くに引っ越して一人暮らしをしたいと思っています。そうすればもっと楽しくなるんじゃないかと、楽しみにしています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
転職したいと思ったら、とにかく行動を起こさないと始まりません！やらなきゃ絶対に変わらないですから。行動する、それしかないと思います。何の仕事をしたいかは人によって違いますし、転職に求めることも人によって違うので、まずは自分が何を求めているのかをはっきりさせることが大事かもしれません。
良い会社に巡り合えるかは、運だと思います。私は花木さんに出会えたので、良い会社に入ることができました。自分だけでは今の会社は知り得なかったし、入れなかったと思うので、出会いに感謝しています。
花木さんという人は、ありきたりのことを言わないんですよ。「仕事としてやっている」という感じがしないというか、「あなたにはこういうことが向いている」というような、一歩踏み込んだ提案をしてくれます。人として相談に乗ってくれているという感じですね。
良い会社に巡り合う運を少しでも上げるために、信頼できるコンサルタントに出会うことが大切だと思います。
